3代目が営む足立区の歴史あるお蕎麦屋さん【そば久】

そば久さんは昭和30年代後半から営業している地元ではもうお馴染みのお蕎麦屋さんで、現在のご主人は3代目。代々引き継がれてきたお店の伝統と魅力を守りながらも、季節の素材を生かしたメニューや既成概念にとらわれない斬新なメニューを取り入れて、常にお客様に飽きられない工夫を考えているというご主人。老若男女と幅広い客層に支持されているお店です。


大西 こちらは大変歴史のあるお蕎麦屋さんとうかがってきましたが、創業何年くらいになるのですか?
杉山 祖父が昭和30年代後半から始めておりますので、50年近くになりますね。
大西 お店を始めてから、ご主人で3代目にあたるわけですね。お店を継ぐことは早くから決めていらしたんですか?
杉山 20代初めの頃は「跡継ぎ」に抵抗を感じていたこともありましたね。でも、子供の頃から親の手伝いはよくしていましたし、「いずれは自分がやるんだ」という意識は自然に根付いていたんだと思います。自分のお店を持つことにも何気に惹かれていたのかもしれません。
大西 こちらのそば久さん、出前は行っていないそうですが、お店で召し上がっていただくことにこだわりをお持ちなんですね。
杉山 とくに強いこだわりを持っているわけではないんですが、普通はおそばを出前用に作るとなるとそば粉の配分などを変えて店内で召し上がっていただくものとは別に作らないといけません。私はあまり器用な方じゃないものですから(笑)、今は店内でできたてのおいしいお蕎麦を召し上がっていただくことに集中して厨房に入っています。
大西 お蕎麦のオススメメニューを教えていただけますか?
杉山 看板メニューでもある「そば三昧」が好評です。梅、とろろ、天婦羅の三種類の味が楽しめる冷やし蕎麦です。シメのデザート、そば団子もウケていますよ。
大西 お蕎麦屋さんのメニューで「つけ麺」を取り扱っているのはなんだか意外な気がします。
杉山 そうかもしれませんね。最近ではつけ麺の専門店もよく見られますが、あまり既成概念にとらわれないようにしようと思っています。お客様は比較的地元の方が多いので、飽きられないように季節の素材を使った限定メニューや、月イチ程度に新しいメニューを加えていけたらと考えています。今の季節であれば春野菜やサクラエビを使った天婦羅、季節が変わればまたおいしい素材がいくらでもありますからね。以前、夏の季節限定メニューで出していたトマトそばが評判よかったので、あれはまたやろうと思っています。常にアイデアはいろいろ考えていて、実際にメニューにすると当たりもあれば、ハズレもあったりします(笑)。でも、全部ひっくるめて楽しみながらやっていますね。
大西 定食や丼といったご飯もののメニューもそうですが、お酒もなかなか充実していますね!
杉山 そうですね、お昼も日替わりのランチとかありますが、夜は夜でお客様に来ていただけるような動機付けになればと思い、お酒のメニューもいろいろ取り揃えています。
大西 店内に入ってみると思いのほか広い印象を受けました。座席数はどれくらいありますか?
杉山 22席ですね。ですから、ご家族連れのお客様にはどんどんご利用いただきたいと思います。かなり客層は幅広く、最近は新規の若いカップルのお客様や女性のお客様も増えてきていますよ。
大西 お店の入り口は「和」の雰囲気が十分すぎて、お値段的にはもう少しお高いのかと思っていましたが逆に安くて驚きでした。
杉山 実は先日もアルバイトに「安すぎなのでは?」と注意されたところなんですよ(笑)。
大西 アルバイトの方の意見はわかりますが、お客様側の意見としてはうれしい限りですね(笑)。最後になりますが、この記事を読まれる読者へ向けてのメッセージをお願いします。
杉山 世間にはベテランのお蕎麦屋さんも数多くありますし、私自身「これでいいのかな」なんて疑問を持ちながら作っていることもあります。でも、今日作る蕎麦は昨日の蕎麦よりもおいしいはず、と自信を持ってお客様にお出ししているので、ぜひ一度、いえ二度、三度と足を運んでいただきたいですね。

■お店データ
そば久
蕎麦・ランチ
東京都足立区本木1-21-13
営業時間/11:30~21:00
定休日/ 水曜日