女性が注目するシートベルトトートバックとは!【株式会社ギヤ】

車の解体業を営む「株式会社ギヤ」より、持続可能なエコ商品として販売を始めたのが、シートベルトとエアバックを使用したトートバック。シンプルなデザインと機能性に注目が集まっています!


滝沢 車の解体屋さんにお邪魔させていただくのは初めてで楽しみにしていました。上村さんの経歴からお聞きしてもいいですか。

上村 父が新潟で刀を作る刀工をしていまして、高校卒業時まで職人の背中を見ながら育ちました。就職する時期がバブルが崩壊したあたりで、新潟には就職先も少ない年でした。その時に自衛隊から誘われて高校卒業と同時に入隊しました。

滝沢 お父様のお仕事を継ごうとは考えなかったんですか。

上村 そうですね。小学校の時は自転車が好きで、高校になるとバイクや車などいじるのが好きで、機械物に対しての興味が強かったんです。勧誘していただいた自衛隊の方から、「自衛隊には戦車を整備する部隊がある」という言葉に惹かれ入隊した次第です(笑)。そこで配属されたのが群馬の整備部隊で、そこで戦車の整備、メカニックをしていました。

滝沢 それから解体業を起業されるまでは?

上村 公務員をしていると他の世界がみたくなって、8年間勤めたのち除隊して、これまで整備する方から、壊す方に方向転換をしました。まず群馬県内の大手の車解体屋さんに就職して、そこで20年勤務した後、2016年に株式会社ギヤを起業をしました。

滝沢 車の解体屋さんは、車を解体処理をして処分料をもらうのが、会社の収益になるんですか。

上村 昔は廃車にするのにお金をいただいて解体処理していましたが、今は逆なんですよ。車自体の性能があがって、性能的にまだまだ乗れる車ばかりで、年式が古いだけなんです。ですので中古車を仕入れて、言い方は変かもしれませんが、「無理やり解体している」というのが現状なんです。勿論なかには、事故車や故障車など、もう乗れない車もあります。ですので、金額は市販で販売する中古車価格とは違いますが、幾らかのお金をお支払いして車を仕入れているんですよ。

滝沢 え~っ!知らなかったです。では会社の収益は?

上村 例えば、解体して中古部品として販売したり、鉄・非鉄を分別して販売したりと。それぞれの解体屋さんの力量で利益を出しています。

滝沢 昔と比べたら、とても大変なお仕事ですね。その部品の一つから、今回作られたのが、シートベルトのトートバッグなんですね。

上村 はい。これまで親の背中も見てきましたので、モノづくりも好きなんです。解体屋さんに勤めていた時は、解体数を増やせばお金になりましたが、自分が起業してみると、解体業の今の現状はどうなんだろうと考えるようになりました。車は55%が鉄や銅・アルミニウムなどで再資源になります。28%が国内・海外部品として再流通します。そして16%ゴミになりますが、熱資源と言って固形燃料などの熱資源としてリサイクルされます。残り1%がゴミとして、今は2~3%になっていると思いますが廃棄物になります。しかし1%というのはすごく優秀だと思います。ただそれを重さに換算すると年間2万トンになります。1トンクラスの車ですと2万台分に匹敵します。それが日本の何処かで埋め立てられているので、少しでもゴミを減らす取り組みの一環として、シートベルトとエアバッグを使ったエコバックを製造・販売するに至ったんです。

滝沢 シートベルトを使ったのは画期的ですね。

上村 これまで、大手バックメーカーでも、一部シートベルトを使った商品はあるんですが、当社のバックは「シートベルトとエアバック」を使用した100%リサイクルした商品になるんです。よく「株式会社ギヤさんはバックを売りたいんですか?」と聞かれるんですが、基本はゴミを減らしたいというのが、エコバックを作ったキッカケなんです。

滝沢 いつからエコバックの販売をされるように。

上村 株式会社ギヤという会社を知っていただく良い機会だとも考え、2019年よりエコバックを作り始めました。最初は、素材が強く耐久性などにも優れているので、災害用のバックを試作しました。一応特許まで取得しました。作ってみましたが実際売れるわけありません。それは虎の子としてしまっておいて、まずはファッション性のあるトートバックから販売を始めました。当初、災害用のバックを作るつもりで工業用のミシンまで買いましたので、災害用のバッグはいずれはと考えてはおります。

滝沢 バックの製造は上村さんがされているんですか?

上村 そうですよ。最初はミシンに糸の掛け方も分かりませんでしたが、調べたり、ミシン屋さんに教わりながら始めました。それから、トートバックなどは家庭用のミシンでもチャレンジをし作れるようになったので、これを普及していきたいとも考えています。

滝沢 とてもオシャレなデザインですが、既製品と違って同じ商品はないですよね。

上村 シーベルトやエアバックなどは、車種やメーカーによって色や素材に違いがあります。エアバックなどは廃車にするまで、見る機会はほとんどないでしょうか。そんなエアバックも、白・ピンク・ブルーなど色々な色があるんですよ。とても丈夫な布で出来ているので、バッグの内袋には最適な素材なんです。また後部座席のシートベルトなどは、使用される頻度が少ないこともあって傷みや汚れなどありません。色の組み合わせ、使用する糸の色、ステッチなど縫い方も工夫して一つ一つ手作りのハンドメイドになり一点物で、まったく同じ商品というものができません。

滝沢 トートバッグの他にはどんなバッグが?

上村 ショルダーバック・レディースリュック・ボディリュックなど、また、群馬県のグッドデザインにも選ばれたんですが、ちょっと小柄で助手席のシートなどに引っ掛けることができる「エコポケ」というバッグの製造・販売も始めました。

滝沢 商品はネットで購入することができるんですか?

上村 はい。ネットショッピング以外でも、当社の敷地内に、廃材を利用した「エコリメ」という店舗を作りましたので、お手に取ってもご覧いただけます。こちらは予約制となっているので、ご来店時には事前にご連絡をお願いしています。

滝沢 ゴミを減らしていきたいという株式会社ギヤさんの取り組みが広がっていけばいいですね。最後に読者にメッセージがありましたら。

上村 車に愛着をお持ちのお客様も多く、廃車にするお車のシートベルトなどを使って、記念にバッグを制作することもできるので、皆さん気軽にお問合せください。またお車を廃車にしたいお客様は直接、上村までご連絡下さい。廃車するお車のお持ち込みも歓迎しております。

車の解体工場 株式会社ギヤ 代表取締役 上村正則 Masanori Kamimura
新潟県出身。高校卒業後に陸上自衛隊に入隊し戦車・装甲車などの整備に携わる。その後群馬県内の大手車の解体屋に就職。20年勤めたのちに現在の株式会社ギヤを2016年4月に開業。持続可能な社会を目指し車の解体から出るゴミの削減に努める傍ら、シートベルトとエアバッグを使ったトートバックの制作販売を2019年から始める。その取り組みが評価され各メディアからも商品の問い合わせが絶えない。
公式サイト:https://gear-g.jp

滝沢沙織

1999年にユニチカ水着キャンペーンガール選出され、2004年フジテレビドラマ「プライド」や「マルモのおきて」、テレビ朝日ドラマ「DOCTORS 最強の名医シリーズ」など数々のドラマ出演。また「秘密のケンミンSHOW」、「林修の今でしょ!講座」などのバラエティーでも活躍!NHKBSプレミアム「晴れ、ときどきファーム」レギュラー出演中!
★インスタグラム:@saori_takizawa.official
★YouTube:滝沢沙織の部屋