不倫の先に破滅願望が!心の葛藤を心理学の視点から…。
中原 そうですね。単純に刺激を求める場合と、どこかに破滅願望や破壊願望があるなんてケースもありますね。
谷 そういう方へのカウンセリングは?
中原 まず最初からそういった話になることは少ないんですが、カウンセリングを進めていくと、自分が幸せになっていけばいく程、壊したくなってしまう。ある意味、今まで行った事のないような高級ホテルに行った時に、落ち着かない。そういった状況になっていきます。だとすると、今まで自分がいた、それがどんなに不幸な環境にあっても、今までいた環境の方が実は落ち着くという心理を、カウンセリングを通じて考えていただけるようにしてまいります。
谷 破壊願望は幸せな人でもあるんですね。
中原 最近は男性の方が、そのようなケースは増えてきているように感じます。相談の中にはDV・ハラスメントもありますので!
谷 恋愛についてですが、ストーカーになる心理みたいなものは?好きすぎてみたいな。
中原 好きすぎてというより、何か勘違いをされている。ストーカーの心理ですが、思い込みによって妄想を膨らましていってしまう場合があるのですが、ストーキング行為をすればする程、相手から好かれるという事は、まずありません。そうすると、心理的に見ると、やればやるほど嫌われるパターンが出来るんですよ。でも自分の中では勘違いをして進んでいきますから、「好きな人から嫌われる」という心のパターンに気付いて解消しないと、問題自体は解消しない。
谷 それは育ってきた環境が影響しているんですか?
中原 これは僕自身の見解ですが、先天的なものと後天的なものと二つあると考えます。先天的なものというと、解りやすく言うと遺伝みたいなものです。お父さんやお母さんの癖を必ずコピーしますから、それが先天的に出てしまうということです。昔から方言などありますが、身近にいる人を真似ていく事で、学習をすることがあるわけです。学習するのは親の立ち居振る舞いだけでなく、物の見方や考え方までコピーしてしまうということ。後天的なものは、一般的に人間関係などの生活環境全般です。これがトラウマになり癖としてでてしまうのでは思います。
谷 トラウマという言葉が出ましたが、トラウマを解消する。治していくというのは難しいのではないですか。
中原 大変ですね。よくこういう例えをしますが、例えば、お料理をしてカレーを作ったと思ってください。それを仕事が忙しくて半年間放置したとします。さて、お鍋の蓋を開ける勇気があるか?
谷 過去の事は蓋を開けないようにするか?私は開けないですね。(笑)
中原 出来れば、このままにして開けない。でも捨てるわけにもいかない。怖くて触れなくなってしまうという感じがトラウマです。トラウマの解消などについては、認知行動療法を使うことが多いですが、例えば潔癖症で物に触れないという人には、一つ一つ触っていって、「どういう風に感じるか」を問いていきます。ある団体などは、潔癖症の方に農業を体験させて、土を直接触る事で、汚いと感じる事より、結果それが労働の楽しみであったり、手が汚れる事で、食べ物ができるという喜びに変えていくという方法もあります。まずは体験をさせるというケース。他には体感をしていただくという事。体験はできなくても感じるという事で、同じ効果がある程度えられるという側面があります。結果、事実というのは変えられないんですよ。例えば失恋をしたという事実は変えられないんです。しかし失恋をする事で、それをどう捉えるかは、いくらでも変えることができるんです。「失恋をしたから私は不幸なんだ!」という人がいますが、未来は失恋したから不幸になるとは限らないんですよ。失恋して、よりよい人に出会う事もありますしね。カウンセリングでは後者をどのように変えていくかという事を中心にしていきます。